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南川泰三の日記です


by minamikawa-taizo
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中国大連の嫌われ者日本人 /

 大連にはおよそ3万人の日本人が暮らしている。大方は大連に事務所や工場を置く日本人とその家族だ。
 しかし、街を歩いていると僕ぐらいの高齢者が若い中国人娘と腕を組んで歩いている姿をしばしば見かける。
「けしからん」
と目くじらを立てるつもりはなく、若干、羨ましいくもあるのだが、彼らは日本で定年退職し、退職金と年金を手に大連にやってきて悠々自適に暮らしている。
 その小金持ちたちが女中を雇う。(日本では女中という言葉は差別用語で使えないが、中国では普通に使われている)
 この女中と呼ばれる女性たちは日本と同じように家事を手伝うだけの人もいるのだが、高齢者と腕を組んで歩いている若いお手伝いさんの多くは家事だけではなく、セックスのお相手もするようだ。
 彼女たちは中国の東北部から仕事を求めて大連にやってきた回族やモンゴル族と言った少数民族で、学歴もコネもなく、出自による差別が激しい中国では、なかなかまともな仕事にありつけない。
 多くはカラオケクラブのホステスになって売春するか、女中になって食いつなぐしかない。しかも、驚くべきことに女中の給料は月額1000元(日本円で14000円)ほどしかならないと言うのだ。
 従って日本で定年退職し、10万円ほどの年金があればこの大連で、マンションを買って若い女中つきで暮らせるというわけだ。
 こうしたカラオケで女を買いまくる日本人や、若い女を女中にして連れ歩く日本人が顰蹙を買っている。
 大連の中国人高齢者の中には戦時中の日本人の思い出と重なって憎悪に近い感情さえ抱いている者もいるようだ。
 今回の取材を後押ししてくれている女性の王さんとタクシーに乗った時、高齢の運転手が何やら王さんを怒鳴り付け、王さんも負けずに言い返している。
「一体、何事か?」
と思って、タクシーを降りたあと聴いてみると
「突然、運転手がお前は中国人のくせに日本人の年寄りに買われて恥ずかしくないのか」
と怒鳴られたんだそうだ。
 どうやら僕がカラオケクラブから、彼女を「お持ち帰り」したと思ったようだ。申し訳ないが彼女はカラオケクラブの年齢制限を大きく上回っている。おそらく車内が暗く、オシャレな?ファッションの彼女を見て勘違いしたのだろう。
 しかも、僕が何度かお付き合いしたカラオケクラブの女の子たちは、地元の大学に通いながら学資を稼ぎに来ている娘や、日本語を実習するためにアルバイトをしている女の子たちで「お持ち帰り」など出来そうになかった。(もちろん、売春するために働いていますなんて正直に言う女の子がいるはずもないが…その気もないけど)
 経済発展で躍進する中国。その中でも成長著しい地域のひとつである大連だが、貧富の格差は想像以上に大きいようだ。
 
 一方で、大連市開発区の局長にお会いしたら、最近、日本に行ったそうで我が祖国、日本を絶賛してくれた。
「日本は清潔で技術がすばらしく、まだまだ中国は日本に追いついていない」
とおっしゃるのだ。コーヒーの自販機で紙コップが自動的に落ちてきて、淹れたてのコーヒーが飲めるとか、泊ったホテルのトイレはみんなウオシュレットだったとか、見学した工場の素晴らしい設備とか、新幹線のスピードと正確さなど、真っ赤な顔で目を輝かせて話すその口ぶりは単なるリップサービスとは思えなかった。
 一部の日本人のために中国人に悪いイメージを与えているとすれば残念だが、日本に観光に押し寄せる中国人の男たちも、ホテルの有料アダルトビデオに夢中になり、新宿歌舞伎町の怪しげな店にお忍びでいく。
 大連の日本人と違うのは若い日本の女の子に腕をからませてにやつきながら、歩いていないだけだ。
by minamikawa-taizo | 2010-06-13 20:55