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南川泰三の日記です


by minamikawa-taizo
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発見!タモリ台本!ヤルパックジョイ ビラビラ島観光案内

 本日、日本脚本アーカイブズ準備室で部会があり、会議終了後にいつものごとく古い台本談義になった。今、神田の古本屋では古い台本が高価で取引されているらしい。
「俺は手塚治虫のサイン入り台本を持っている」
「おお、それは高く売れそうだ」
「○○さんは大橋巨泉さんの放送作家時代の台本を持っているんだって」
「へえ、あの人、放送作家だったの?それでどんな作品」
「かなりヒドイって言ってた」
なんて話で盛り上がった。
 家に帰って我が家にも珍品はないかと探したら、ありましたよ、ありましたよ。
 井上ひさしさんの放送作家時代の台本とか、向田邦子さんの幻のラブレターのコピーとか、著作権があるから公表出来ないが、永年、この仕事をしているといろいろある。
 黄ばんだ原稿用紙の直筆原稿が出てきた。作者は南川泰三、つまり僕。
 かつて11PMという番組を書いていた時、当時、夜の帝王と言われたタモリコーナーの台本だ。
 タイトルは「ヤルパックジョイ ビラビラ島観光案内」とある。
 思い出した。タモリさんがブラックなジョークをやるワンマンコーナーで、今から見るとヒドイ台本だが、当時は名作?と絶賛する人もいた。
 タモリさんが観光ガイドスタイルで登場し、黒板を前に怪しげな図を書きながら、ビラビラ島なるものを御案内するという仕掛けだ。

「ようこそ、いらっしゃいました。本日はわがアカザネ観光をご利用いただきましてありがとうございます。それでは早速、ヤルパックジョイ、新発見ビラビラ島、四発五日の旅に御案内いたしましょう。
 
 まずこの度、イタリアのマンコポーロが発見致しましたビラビラ島でございますが、この島の位置は地理学的にもうしますと、体緯69度、月経80度の交差したこのあたりにございます。
 ちょうど大平洋のど真ん中。島のデルタ地帯は茫々たるジャングルに覆われていまして、永年、チン跡未踏だったためか、蔦がからまり一度迷い込んだら抜け出せない恐ろしい穴場になっております。
 島の上部は小高い丘になっておりまして、恥丘ともビーナスの丘とも呼ばれております。
このビーナスの丘の麓あたりから真っ直ぐに活断層が走っていまして、地質学的にはこれを
<ワレメ>と、こう呼んでいるわけでありますが、この活断層が著しく落ち込んだあたりが島の最奥部で、大湿地帯となっております。
 さあ、いよいよ皆さんと島の観光に出かけるわけですが、その前にビラビラ島の歴史<エクスタ史>を勉強しておきましょう。
 そもそもビラビラ島は20万年前に突然、ボッキ、いや隆起して出来た島でございまして、氷河期から思春期に入った頃までは、この島も清らかで訪れる人もいませんでした。
 ところが発情期にはいりますと、大勢の男性観光客がいれまくり、いや、入れ替わり立ち替わり訪れたもんですから、ビラビラ島は次第に荒れ果て、爛熟期に入った頃はもうグチャグチャ・・
 さて、このビラビラ島の島人たちの気質ですが、全体として陰湿な方が多い様です。
しかし、島の人たちとよく交わって見ますと、同じ陰湿なタイプでも二通りあることが分かって来ます。二通り・・つまりこちら側に住む人たちが大陰湿。こちら側に住む人が小陰湿~とこうなっているんでございますね。
 それではいよいよビラビラ島の名所、秘所、急所なんぞを御案内いたしましょう。
 まず島に到着された初めての夜、初夜ですね。島を散策しながらドテ散歩をお楽しみ
ください。ドテを歩いてこのあたりに来られましと有名なオマメ観音がございます。
 昔、飢え死に仕掛けたリスがこの観音様の御利益で栗を授かったことから<クリトリス観音>とも呼ばれております。
 島の中心を貫いている道はメンスストリートと申しまして、月に一度赤旗が立ち、その日は祭日になっております。
 このしっとりと濡れたメンスストリートを進んで行きますと、突き当たりはオマンタ洞窟。この洞窟にググッと分け入っていく道を腹宿通りの表参道と呼ばれています。
 又、時々、この洞窟のまわりで絵をかいている子供に出会いますが、これは<チツガイシャセイ」と言っております。
 この洞窟の奥深くに祀られているお宮さんは子宮様と言いまして、周りを警護しているお巡りさんを子宮ケイカンと呼んでいます。
 この洞窟、観光客の出入りが激しい時は潮を噴き上げますが、これは満潮現象と言われ
とくに最初に噴き上げるのを初潮と言っています。
 ちなみに島の下側にあるアナル岬でも潮が吹き上がりますが、こちらの方はカンチョウ現象と呼んでおります。
 ビラビラ島、お帰りの時は是非、おみやげにこの島の出産物を!コーネン出産物からムツウ出産物などいろいろ取りそろえておりますが、とくにお勧めは美しく輝くサンゼンサンゴが評判でございます。
 ビラビラ島への交通の便はヤリタイヤ航空とパンナメ航空が乗り入れております。お申し込みは是非、当社、密通交通へ。」

 旅の恥はかき捨て、人生の恥は書き捨て。こんなことを書いていた南川泰三もいた。
by minamikawa-taizo | 2005-10-13 01:23