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南川泰三の日記です


by minamikawa-taizo
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子捨て子殺し母親だけを何故責める?

母親による子殺しが頻発している。こうした事件が起こるたびにいつも思うのだが、何故、母親だけが矢面に立たされるのだろうか?
 尊属殺人、実子殺しという重大な罪を犯したのだから当然という意見もあるだろうが、多くの場合、母親はわが子を殺す以前に既に追い詰められた状況にいるということだ。
 そして、その多くは子殺しというより、母子心中の挫折と言えるものだ。
 子供は両親あっての子供だ。たとえ離婚していようとも父親がいて、母親がいない限り子供は存在しえない。
 母親による子殺し事件を報じるメディアで、父親の責任、父親は何をしていたのか?父親は妻の子殺しをどう受け止めているのかに触れることは極めて稀でしかない。
 僕は30年も前に「小さな棺~子捨て子殺しの系譜」という本を上梓した。
 つまり、当時も子捨て子殺し、幼児虐待事件が相次ぎ、社会問題となっていたということだ。当時、マスコミは「非情な母」「冷酷な母」と書きたてた。
「これが本当に母親だけが責められることなのか?」
と思ったことが執筆のきっかけだった。
 調べて見るとこの国にめんめんと続く子捨て子殺しの土壌が浮かび上がってきた。一件一件は「過剰折檻」や「心中の道連れ」と言った個々の原因がクローズアップされるが、明治以降の新聞から子捨て子殺しの記事を抽出してみると、それは社会環境や諸制度の不備と言った外的要因も大いに関係することがわかった。
 ただ今、読み直して見ると、誤字脱字、稚拙な文章表現(これは今も大差ないが)などが目立ち、お勧めできないが、少なくとも子捨て子殺し現象が今に始まったことではなく繰り返されてきたことで、あいも変わらず女性が攻撃の矢面に立たされているという現実だけは変わらないということだ。
「父親は釣りに出かけていた」「夫が会社から戻ると~」というような記事を見ていると実にやるせなくなる。
 まるで父親は子供の死にまったく無関係と言いたげに思えてならない。ひとりの小さな命の消滅はその子供の父親と母親双方に責任があるはずだ。強いて言えばその子をとりまく社会や、行政にも責任がある。
 自らの命をコントロール出来ない子供の命は他人はもちろんのこと親であっても一方的に奪うことは許されない。
 この世に生まれ出た子供は生きる権利がある。子供というだけで無条件に保護されねばならない。無責任な親はいつの世もいる。責任感のない親を責める前にまず犠牲となる子供を救わなければならない。
 貧乏、理由にならない。家庭の不和、関係ない。不義の子、それがどうした。大人たちの理由はどんな理由でも子供には関係ない。子供を殺していい理由なぞどこにも存在しない。
by minamikawa-taizo | 2008-10-01 02:41