ちょっと危ない池上解説ブーム /
2010年 10月 10日
池上解説をありがたがる人の多くは、それまで政治や経済、国際情勢に無知だったり無関心だったりする人です。
そういう人たちに池上史観や池上解説を、真っ白な紙に絵の具をこぼすように垂れ流していくのはとても危険だと思うのです。
番組を見る限り、池上さんの解説に素朴な質問をしても、異を唱えたり、反論する人はいません。
今、この国が抱えている問題は「そうだったのか」と分かりやすく解説され、安易に納得してしまうほど単純なものではありません。
池上解説はあくまで時事解説であって、それ以上でも以下でもないことを心すべきです。
あまり人気になりすぎると池上さんが微妙に世論を誘導することも可能になってしまいます。
たとえば尖閣諸島問題でも、日本の主張と中国の主張を紹介するのは一見、客観的に見えても、実は「中国が主張する領土権」を対立軸に置くことによって、それが既成事実となり
「尖閣諸島の領土権には日本と中国双方の主張があるんだな」
という印象を与えることになります。
池上さんの解説にスタジオのタレントたちが
「そうだったのか」
と大げさに頷くその裏に、タレントたちと共鳴して頷く数百万人の視聴者がいると思うとゾッとします。
ニュースに完全な公平性を求めるのは不可能です。たとえば4分のニュースで民主党の言い分を2分、野党の言い分を2分流せば公平な報道なのでしょうか。その内容の伝え方で視聴者の印象が違ってきます。菅さんの演説のあとでにこやかな自信に満ちた笑顔を見せるのと、疲れ切った表情を見せるのとでは演説を聞いた印象まで違って来ます。
小沢さんの疑惑を報道するニュースで悪党面で締めくくるのか、笑顔で締めくくるのかでも印象が違います。この場合、笑顔が必ず好印象につながるとは限りません。
疑惑について説明責任を果たすべきだという街頭インタビューの後に、豪快に笑う小沢さんを入れれば、同じ笑顔でも「ふてぶてしい笑い」という印象を与える可能性があります。
かつて、ニュースステーションという番組でパーソナリティの久米宏さんがニュースのあとで、納得出来ないと言いたげに首を傾げるだけで、視聴者もそのニュースに疑問を持つという現象がありました。
ニュースを分かりやすくというコンセプトを元に人気を博している池上解説は多くの国民に政治や経済、国際問題に目を向けてもらうという意味では大変、有効だと思いますが、一方で、国民を短絡化させ、単純で分かりやすい政治指向に走らせてしまう心配があります。国内外問わずますます複雑化、専門家しつつある国政に安易な
「そうだったのか」
は要注意です。
お知らせ
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「ドキュメンタリー講座」
講師 南川泰三
主催/日本脚本アーカイブズ倶楽部
後援/足立区・足立区教育委員会 社団法人日本放送作家協会・日本脚本アーカイブズ
場所 学びピア5F研修室(足立区北千住)
時間 14:00~16:00
受講料:一般 500円 足立区民300円
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① 11月13日(土))
② 12月4日(土)
② 12月11日(土)
④ 2月12日(土)
⑤ 3月12日(土)
南川泰三
主な作品:ドラマ「ばあちゃんの星」「花吹雪はしご一家j TBS
ドキュメンタリー ハンセン病迷宮の百年(TVK)「ムツゴロウとゆかいな仲間たちj CX
「イーちゃんの白い杖」STV
著書「玉撞き屋の千代さん」集英社「グッバイ艶」作品社
龍の爪~中国人民法廷(仮題)」来年2月発売予定





