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南川泰三の日記です


by minamikawa-taizo
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イエレン(野人)が呼んでいる。 /

週刊新潮にB級重大ニュースという頁がある。重大ニュースと言ってもB級、つまり捨てネタだ。今週号のB級重大ニュースの中に「雪男を探しませんか」という記事があった。全部で13行の小さな記事だ。
「生物学の基礎知識があり、写真撮影が出来て、忍耐強く体力のある人材を求む」
という書き出しで、中国湖北省の研究団体の募集記事だ。
 この研究団体は野人(イエレン)と呼ばれる未確認動物(UMA)を追い、調査研究している団体らしい。
「懐かしいなぁ。まだイエレンを追っていたんだぁ!」
ちょっと胸が熱くなった。僕がフジテレビの野人探検チームの一員として加わったのは、1980年10月だからほぼ30年前ということになる。
中国湖北省神農架(じんのうじゃ)に棲息するという野人(イエレン)の調査で3000メートル級の山々が連なる山中にキャンプを張って2週間、イエレンを探し歩いた。
 当時は中国科学院の調査隊も神農架に入っていた。そこに棲むイエレンは多くの目撃者の証言や、考古学的な発掘調査から、60万年前の原人が現在も生息している可能性があると言われていた。
 湖北省とお隣の四川省の境にはあのジャイアントパンダが生息している。パンダの起源は60万年前とされており、神農架には白亜紀の植物、メタセコイヤ(水杉)が生えており、巨猿に近い骨も発見されていた。
 切り立った崖っぷちを移動していた僕は足を滑らせ数メートル落下。それを対岸のカメラマンが九死に一生の無様な姿を撮影していた。
 結局、厳寒の山地を這いずり回って、撮影出来たのはイエレンが木に捕まってウンチをしたらしい足跡と、鑑定の結果、猿でも熊でもないという数本の毛髪と、地元の県会議長をはじめとする有力な?目撃証言の数々だった。
 にもかかわらず番組は高視聴率を取り、僕のゴールデン枠進出の足がかりを作ってくれた。イエレン様々である。
 野人のあやしげな足跡だけで、高視聴率を取ったということで、放送作家としての僕は一躍、売れっ子作家になり、動物もの、中国もの、自然ものの企画が次々に舞い込むようになった。
 その後、一緒に探検をしたフジテレビのディレクターと「野人は生きている(サンケイ出版)」を上梓した。この本は日本で唯一の野人調査の報告書として価値があると思われたのか、今も古書サイトで15000円前後の値段となっている。
 あれから30年、今なお野人を探している人たちがいた。何故か感無量だ。
 当時、目撃談の中で印象的だった母子の野人は今も元気に暮らしているのだろうか?
生きていれば母親の野人はおそらく60数歳。子供の野人はもう立派な成人になっていることだろう。
 あるいはあの苛酷な自然の中では30年以上、生きるのは不可能かも知れない。目撃談によれば子供を抱えたお母さんイエレンが必死に崖を這い上がろうとするが、うまく上がれず、何度もずり落ちて、やっと這い上がって姿を消したという。
中国湖北省の研究団体の募集。もう少し若ければ応募して、イエレンに出会ってみたい。
by minamikawa-taizo | 2010-10-23 02:16