雨ニモ負ケズ、風ニモ負ケズ
2007年 01月 08日
本日は快晴。昨日までの天気が嘘のようだ。午後3時、娘のマヤが退屈を持てあましている。天気もいいし身体に黴が生えそうだったので出かけることにした。暮れから正月にかけて初めての外出だ。
冬の太陽が目映かった。出かけると言ってもこの時間からじゃ初詣も不可能だ。買い物があるというカミさんに付きあうことにした。
マヤはオシャレをして、唇にリップクリームなどを丁寧に塗り込んで、ブーツで決めている。
こちらはどう見ても2+1。たんなるお荷物、それでも久々の外の空気は素晴らしい。道行く人たちが気のせいか華やいで見える。
カミさんの買い物に付きあう時はいつもパターンが決まっている。彼女は自分のペースでゆっくりショッピングをしたいために、僕はもっぱらマヤの付き添い役となる。
やってきたのは横浜のセンター南。カミさんお気に入りのショッピング街だ。なにもわざわざ自宅から1時間以上もかけて来るほどの所じゃないと思うのだが、もちろん、そんなことはカミさんには言わない。
運動不足の解消と身体の黴とりが目的だからどこだっていいのだ。まずマヤに引っ張られてキディランドに入る。消しゴム・ノート・鉛筆のキャップ・小物アクセサリーなどいろんなキャラクターグッズが売られており、マヤはその一つ一つを懇切丁寧に一点一点確かめながら吟味している。
結局、キディランドには今日、買いたい品物はなかったようだ。
そのあとトイザラスに行って、たまごっちゲームをやって店を出た。
「泰さん、本を買って欲しいの」
いつものごとくおねだりが始まった。本と言えばノーとは言わない僕の性質をしっかり計算済みのようだ。
「本はいいけど、今、マヤが夢中で読んでいる超能力探偵ムーだの魔女の何とかという本は自分のお金で買うべし。泰さんはマヤに読ませたい本なら買ってあげる」
本屋に行って僕は「ああ、無情」や「トム・ソーヤの冒険」「小公子」「巌窟王」「西遊記」などの児童文学の書棚の前に立たせて
「この中から読みたいと思う本を選びなさい」
と言ったら、マヤは手にとって見ようともしない。全く関心を示さないのだ。
「読みたいと思うものがなかったら無理しなくていいよ」
マヤは言った。
「こういう本は学校の図書館にあるからいつでも借りられるでしょ。図書館で借りられない本を買って欲しいの」
なるほど、そういう理屈できたか。本当は興味がないくせに。
「それにね」
とマヤが言った。
「こういう本は絵がダサくて、何となく古い感じがするの」
「じゃ、無理に買わなくてもいい。自分のお金で好きな本を買いなさい」
何だか自分の作品をけなされたような……ちょっとムッとして意地の悪い対応をしてしまった。
しばらく本屋をウロウロしていたマヤは1冊の本を持って来た。宮沢賢治の「雨ニモ負ケズ」の絵入り詩集だ。
「前から雨ニモ負ケズを暗記したいと思っていたの」
本当にこれが読みたいのか?それとも僕を喜ばせようとしているのか?「雨ニモ負ケズ」が必ずしも読んで欲しい詩とは思わないが、名探偵ムーよりいいか。ムーシリーズや魔女何とかシリーズはもう十数冊読破していて、それはそれなりにマヤの年頃を引きつけるのだろうが、ちょっと寂しい。
久しぶりに焼肉を食べて帰った。マヤは大声で「雨ニモ負ケズ、風ニモ負ケズ……」と読んでいる。
雨ニモ負ケズ、風ニモ負ケズ





