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南川泰三の日記です


by minamikawa-taizo
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ぬかに釘、のれんに腕押しの授業

今、西葛西にある映画専門学校で週一9回の南川脚本講座を担当している。今週の講義内容は「ナレーション特講」でナレーションの役割と書き方を講義し、最後にナレーションが入っていない2分の映像を見せ、ナレーション書きの元になる資料を配付して、内容を説明し、ナレーションを書いてくるようにという課題を出した。
 ところが生徒が二十数人もいるので素材となるVTRのダビングが出来ない。しかも、全員に課題を出しても、ただ間に合わせで書いて来られても困る。そこで
「このナレーションの課題に挑戦してみようという人だけでいい。誰かチャレンジする人はいますか?」
 と呼びかけたら誰一人手を挙げない。ショックだった。みんなナレーションを書くことに全く興味がなさそうなのだ。そこで
「君たちが知りたいと思わない授業をあえてやるつもりはない。この際、この講義で何を学びたいのか言ってごらん」
 と提案して一人一人の意見を聞いた。見事にバラバラな意見が返ってきた。
「ドキュメンタリーの裏側が知りたい」
「先生が一方的にしゃべることが多いので、教室で生徒に書かせることをやって欲しい」
「脚本の授業なのだから脚本の書き方を教えて欲しい」
「わたしは脚本を書くつもりはないから、書き方は興味がない」
いやはや、聞かなきゃ良かったと思った。
 僕は日頃から生徒に脚本の書き方は教えたくない。そんなのはたくさんのシナリオを読んで、自分に合った書き方を学べばいい。この授業では脚本を書く以前の「発想法」や「イメージトレーニング」「取材の仕方」と言ったクリエーターとしての基本を教えたいと言い続け実践してきた。
 「桃太郎の世界」という授業では童話「桃太郎」を素材に自由な発想で新たな物語を考えさせたり、「悪魔の辞典」という授業では、「愛とは」「安心とは」と言った既成の言葉に新しい解釈をさせるという授業をやった。
 それはそれなりに教室が盛り上がって、いい授業になったと思っていたが、他のクラスでは「脚本の書き方」をやっているから、僕の教室でも脚本の書き方をやって欲しいという脚本コースの担当者からの要望もあって、他の講師に頼んで3週分、脚本の書き方を担当してもらった。
 そのあとの久々の授業で生徒達の本音を聞くはめになったのだ。
 講師はを生徒達の要望を聞いて、それに合わせる必要はないと思っている。生徒が望もうが望むまいが知らなければならないことが存在するからだ。
 しかし、全く興味も関心もないことをいくら必要だからと言って押しつけたって意味がない。 
「ナレーションは重要だ。ナレーションは難しい。ナレーションはこういう書き方をしたらダメだと言うような話を一方的にされた後に、さあ書けと言われても書けません」
 どうやら今の学生達はマニュアルを示して、手取足取り書き方を教えないとダメらしい。
さあ、来週の授業は何をやろうかなぁ。 
by minamikawa-taizo | 2007-02-02 23:47